私の中学生以来の愛読書です。いまだに読み返したりなどしています。
股旅ものと言われる小説を最初に書いた人は子母澤寛ですが、紋次郎の作者である笹沢左保氏は、あえて今までの股旅ものとは一線を画すものに仕上げました。
それは当時流行っていたマカロニウェスタンの要素や推理小説的な手法を用いたことです。
また紋次郎のキャラクターもクールでニヒルなものとし、今までの股旅小説の主人公とは全く反対の人物像を作り上げました。
それから戦い方にしてもリアルさを表現して、斬ることよりも刺すことで相手を葬るなど、とても個性的な物語となっています。
当時の紋次郎ブームはテレビ放映によってもたらされたものですが、ぜひ小説を読んで頂きたいと、40数年来の愛読者である私は切に願うのです。